千のブリトー

生涯大学1年生

『旅のラゴス』 読了

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な~にオシャレ大学生がインスタグラムにあげてそうな角度で写真撮ってんだよおめぇ。あからさまに恰好を付けるな。

 

 以前に購入してチビチビと読んでいた、筒井康隆『旅のラゴス新潮文庫を帰省する電車の中で読み終わった。

新幹線は3時間くらいかかるうえに、道中のほとんどが圏外だからやることが読書か音楽を聴くくらいしかないので、いつも音楽を聴きながら本を読んで時間を潰してるんだけど、それでも3時間はかなり長いと感じる。

 『旅のラゴス』を読んで帰った日の3時間は本当に一瞬だった。発展した文明が崩壊し、原始の世界に逆戻りした世界で、主人公のラゴスが先祖が残した前時代の知識の書物を探しに世界中のあちこちを旅するという話なのだけれど、そんなに分厚くもない本なのにラゴスの人生、ひいては人の人生を丸々体験したような気分になった。もちろんSFチックな世界観や、集団転移みたいな超能力にも心躍ったのだけれど、ラゴスがさまざまな場所に赴いた際に感じた心情や、彼の考え方が自分の人生を考えるにあたってとても勉強になった。

最終的にラゴス書物を発見して、故郷に帰りその知識を保存し後世に伝えることができたのだけど、それでもラゴスは旅に出てしまう。地位や富、名声が全て手に入り、かつ老年になった時自分はラゴスと同じ判断ができるか、ラゴスのような考え方に至るのかが本を読み終わった段階でずっと自分の中に残っている。僕は漠然とした憧れで上京したような人間で、それはありきたりながらも「旅」に近いものがあると思うのだけれども、自分は就職先を地元に選んだ。ここで自分の「旅」を終えていいのか、じゃあ東京に居て何がしたいんだ、そんなことを考えていた。

ラゴスならもしかすると5,6年仕事して突然パッと辞めたりするだろうけれども、自分にその決断ができるかわからないし、それが正しいのかもわからない。

今こうして感じていることは紛れもなく「今」しか感じることのできない感情だと思う。だからまた何年かしたらこの本を読みなおしたいと思う、そう思わせてくれる本だった。

 

・次に読む本

実家にいる間もある程度暇が続きそうだから、星新一の『マイ国家』を買ってきた。あらすじを見るに「ショートショート」という小さい章で区切られた話たくさん連なっているような形式らしく、とても読みやすそうな印象を受けた。ドリチン夏の読書週間2冊目はとりあえずこれに決めた。

 

ということです(?)

 

 

 

おわり

 

 

namielei.hatenablog.com

 

 

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)